それぞれの膠原病に特徴的な症状 ❷【血管炎編 part1:高安動脈炎・巨細胞性動脈炎・結節性多発動脈炎】
今回は、それぞれの膠原病の症状 ❷ 血管炎編 part1について詳しく紹介していきたいと思いますのでぜひ参考にしてみてください!

- それぞれの膠原病の症状を大まかに理解できる!

膠原病について
まず、膠原病自体あまり良く知らない方も多いかもしれませんが、膠原病は身体の免疫機能が異常になって発症する病気のことをいいます。

この異常になった免疫は、身体のあらゆる臓器を攻撃して、臓器障害を起こします。
これによって、腎炎を起こしたり、間質性肺炎を起こしたり、皮膚炎を起こしたりします。

この免疫細胞による炎症が、身体に色々な症状を引き起こす原因となるのですね。

血管炎を疑う全身症状

血管炎には、いろいろな種類がありますが、それぞれの血管炎でも共通する全身症状があります。
以下のような全身症状がある場合は、血管炎を疑う第一歩になります。
- 発熱が続く

- 全身がだるい(全身倦怠感)

- 最近体重が減った

- 疲れやすくなった(易疲労感)

- 関節が痛い(多関節痛)

- 筋肉痛

血管炎は、少しイメージしにくい病気かもしれません。
血管炎は、その名の通り、血管に炎症が起きます。

血管は心臓から出て体の隅々まで張り巡らされているため、

血管に炎症が起きると、発熱が起きたり、倦怠感が起きたり、体重が減ってきたり、全身症状が起きてきます。
また、血管炎のもう一つの特徴で、
炎症が起きる『血管のサイズ』によって、疾患が分けられます。
血管炎の分類について
血管の分類については、『Chapel Hill(チャペル・ヒル)の分類』を参考にするのが一番わかりやすいので、まずはこちらの図をご覧ください。

〈Chapel Hill(チャペル・ヒル)の分類1)〉
血管炎は、大型血管炎、中型血管炎、小型〜中型血管炎、さらに小さい細動脈や毛細血管による血管炎に分かれます。
❶『 大型血管炎 』には、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎があります。
❷『 中型血管炎 』には、結節性多発動脈炎、川崎病があります。
❸『 小型〜中型血管炎 』には、ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎肉芽種症、好酸球性多発血管炎性肉芽種症)があります。
❹さらに細い『 細動脈や毛細血管による血管炎 』には、IgA血管炎、抗GBM抗体病などがあります。
このように血管炎は、大きくこの4つのパターンに分かれています。
炎症が起きる血管のサイズによって、それぞれ症状が変わってくるのが特徴で、
血管炎の方は、ご自身の血管炎がどのレベルの血管炎なのかを知ることで、それぞれの血管炎ごとの症状をより理解できるようになると思います。

それでは次に、それぞれの血管炎の症状を見ていきたいと思います。
まず、大型血管炎である、高安動脈炎と巨細胞性動脈炎をみていきましょう。
高安動脈炎を疑う症状

高安動脈炎では主に次のような症状が現れます。
- 脳の血流障害が生じた場合
- めまいや立ちくらみがある
- 失神発作があった
- 難聴や耳鳴がある
- 歯の痛みがある
- 頸部痛(首の痛み)がある
- 手足の麻痺、失明といった脳梗塞の症状がある(症状がひどい場合)
- 上肢の血流障害が生じた場合
- 上肢のしびれ感がある
- 上肢の痛みがある
- 片側の脈が消失している
- 血圧の左右差がある
- 下肢の血流障害が生じた場合
- 一定の距離を歩くと、ふくらはぎなどにうずくような痛みやしびれ・疲労感がある(間欠性破行)
- 下肢のしびれ感がある
- 下肢の痛みがある
では、具体的に症状について説明していきたいと思います。
高安動脈炎では、大きな血管(大動脈)の炎症による「血管の閉塞や拡張」に伴う症状を認めます。

血管炎によって、血管が閉塞や拡張すると、抹消の血流が悪くなり、抹消の組織が虚血になります。
これによって症状が出現します。
具体的には、
脳の虚血症状によって、
めまいや失神などが起きたり、歯の痛みや、首の痛みが出たりします。

また、片側の上肢の虚血症状によって、
腕の易疲労感、しびれ感、上肢痛み、脈なし、血圧の左右差などが起きたり、

下肢の虚血症状によって、
間欠性跛行や下肢の痺れ感や痛みが起きます。

症状は、脳の症状も上肢の症状も下肢の症状も皆起きるのですか?

症状は、血管の炎症が起きる部位によって変わります。
高安動脈炎による大動脈の炎症が、脳動脈の基部に起きれば、脳の症状が出現しますし、
鎖骨下動脈などに炎症が起きれば、上肢の症状が起き、

下肢の動脈の炎症が強ければ、下肢の症状が出ます。

この炎症が起きる部位は、患者さん毎にそれぞれ違うので、脳と上肢の症状が出る方もいれば、下肢の症状のみという方もいます。

巨細胞性動脈炎を疑う症状

巨細胞性動脈炎は、大型血管炎の一つで、
『50歳以上の中年から高齢者の方に発症する』のが特徴です。
巨細胞性動脈炎では主に次のような症状が現れます。
- 頭痛がある
- 側頭動脈に圧痛や腫脹がある
- 食べ物を噛んだり、しゃべったり、とにかく顎の筋肉を動かすと痛くなる(額破行)
- 下顎痛がある
- 眼動脈に炎症を認めた場合
- 急激で重篤な視力低下がある
- 一過性に目の前が真っ暗になる(黒内症発作)
また、高安動脈炎と同じように血管炎によって、
上肢や下肢の血流障害を伴う場合があり、それに伴う症状を認めることもあります。
上肢や下肢の症状については、基本的には高安動脈炎の症状と同じなため、高安動脈炎の説明を参考にしてください。
では、具体的に症状について説明していきたいと思います。

巨細胞性動脈炎は、典型的には、外頚動脈(首の動脈)から分枝した『 側頭動脈 』という部分に炎症が起きます。
そのため、『 側頭動脈炎 』と以前は言われていました。
症状は、
病側の頭痛や、側頭動脈(こめかみのあたり)に圧痛や腫れが起きたり、

また、額跛行といって、食べ物を噛んだり、しゃべったり、とにかく顎の筋肉を動かすと痛くなる

といった症状が起きます。
眼動脈に炎症を認めた場合は、急激で重篤な視力低下を認める場合があり、注意が必要です。

最悪失明してしまうこともあり、症状がみられたら緊急で治療を行う必要があります。
30%の割合で、前駆症状として一過性に真っ暗になる黒内症発作を認めます。
また、炎症が大動脈に起きる場合もあり、その場合、上肢虚血症状や下肢虚血症状を認める場合もあります。


結節性多発動脈炎を疑う症状

結節性多発動脈炎は主として中型動脈に炎症を起こします。
中型動脈は、大動脈からの分枝した動脈と、そこから内臓内部に入り小型血管まで至っていない動脈が該当となります。
結節性多発動脈炎では主に次のような、中型動脈の炎症による症状が現れます。
- 脳出血、脳梗塞の症状
- 手足の麻痺
- 呂律が回らない
- ものが二重に見えるなど
- 心筋梗塞、虚血性心疾患、心膜炎、心不全の症状
- 胸痛が数分以上続いている
- 全身の浮腫みがある
- 体を動かすと、胸が痛む
- 胸膜炎による症状
- 呼吸に合わせて胸部に痛みがある
- 消化管出血、腸梗塞・閉塞
- お通じが赤い(血便)
- 腹痛がある
- 末梢神経症状
- 手足が痺れる
- 皮膚の症状
- 皮下結節がある
- 皮膚潰瘍や壊疽がある
- 紫斑がある
では、症状を具体的にそれぞれ説明していきたいと思います。
脳出血、脳梗塞による症状
- 手足の麻痺

- 呂律が回らない

- ものが二重に見えるなど

頻度は10%程度と少ないですが、
脳の血管に炎症を認めた場合は、脳出血・脳梗塞などの中枢神経病変を認め、それに伴う症状を認めます。
心筋梗塞、虚血性心疾患、心膜炎、心不全の症状
- 胸痛が数分以上続いている

- 全身の浮腫みがある

- 体を動かすと、胸が痛む

心疾患も20%程度で認め、
心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患や心不全、心膜炎を来し、それに伴う症状を認めます。
胸膜炎による症状・消化器症状
- 胸膜炎による症状
- 呼吸に合わせて胸部に痛みがある

- 消化管出血、腸梗塞・閉塞
- お通じが赤い(血便)
- 腹痛がある

消化管を栄養する「上腸間膜動脈や下腸管膜動脈」という動脈があります。
ここに炎症が起きると、消化管に炎症がおき、消化管出血や腸梗塞・閉塞といった症状が起きることもあります。
神経症状
- 末梢神経症状
- 手足が痺れる

手足の痺れといった、末梢神経病変は、頻度は70%と高く認めます。
皮膚の症状
- 皮下結節がある
- 皮膚潰瘍や壊疽がある

〈皮膚潰瘍2)〉
- 紫斑がある

〈紫斑2)〉
結節性多発動脈炎の皮膚症状は、真皮深層〜皮下組織の血管に炎症が起き、皮下結節や皮膚潰瘍がみられます。
頻度は70%と高く認めます。
腎症状
- 最近血圧が高くなった

- 尿の回数や量が減った

- 最近浮腫みが増えてきた

腎臓を栄養する腎動脈に炎症を認めると、「高血圧、腎障害、腎梗塞」などを認めます。
なぜ腎動脈に炎症を認めると、高血圧を認めるかのか?というと、
腎臓は身体の循環血液量をコントロールしている臓器であり、そこには「レニンーアンジオテンシン・アルドステロン系」というホルモン系が関わっています。
腎動脈に炎症を認めることで、腎臓への血流が悪くなります。
腎臓は、血液の不純物を取り除き、尿を作る機関であり、腎臓の血流が悪くなるとうまく尿を作ることができません。
腎臓への血流が悪化すると、腎臓から「レニン」というホルモンが分泌されます。
このレニンが、身体の腎臓の血流を増やすように指令が送られます。

〈レニンーアンギオテンシン・アルドステロン系の模式図〉
レニンの作用によって、「アンジオテンシン」の生成が促され、このアンジオテンシンによって血管が収縮します。
血管が収縮することで、血圧が上がり「高血圧」となるのですね。

終わりに

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また別の記事でお会いしましょう!
今回の動画はこちら
今回の内容を動画で学びたい時はこちらをご覧ください⬇︎

お知らせ

現役医師が作ったヘルスケアプリ『 マイカル 』2025年7月リリース!!
iPhone版のURLとQRコード👇
https://apps.apple.com/jp/app/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%AB/id6748717829

Android版のURLとQRコード👇
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mycal.medlife





MedLifeチャンネル 〜役立つ医療情報を動画で紹介〜
※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。

