それぞれの膠原病に特徴的な症状❷ 血管炎編 part2【血管炎編 part2:多発血管炎性肉芽腫症・顕微鏡的多発血管炎・好酸球性多発血管炎性肉芽腫症・IgA血管炎】

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この記事でわかること!
  • それぞれの膠原病の症状を大まかに理解できる!

今回は、前回の血管炎編 part1に引き続き、それぞれの膠原病に特徴的な症状❷ 血管炎編 part2 についてお話していきたいと思います。

Dr. キウイ
Dr. キウイ

膠原病について

まず、膠原病自体あまり良く知らない方も多いかもしれませんが、膠原病は身体の免疫機能が異常になって発症する病気のことをいいます。

この異常になった免疫は、身体のあらゆる臓器を攻撃して、臓器障害を起こします。

これによって、腎炎を起こしたり、間質性肺炎を起こしたり、皮膚炎を起こしたりします。

この免疫細胞による炎症が、身体に色々な症状を引き起こす原因となるのですね。

Dr. キウイ
Dr. キウイ

多発血管炎性肉芽腫症を疑う症状

多発血管炎性肉芽腫症(GPA)は、血管炎という病気の一つで、「小型血管炎」という小型血管に炎症が起きる病気です。

さらに多発血管炎性肉芽腫症は、ANCA関連血管炎という血管炎の一つになります。

また、多発血管炎性肉芽腫症は自己抗体の一つである「ANCA」の中でも、「PR3-ANCA」が上昇するのが特徴的です。(一部に、MPO-ANCAが上昇する場合もあります)。

多発血管炎性肉芽腫症では主に次のような症状が現れます。

多発血管炎性肉芽腫症を疑う症状
  • 上気道症状
    • 鼻症状:鼻血、膿性鼻漏がある
    • 耳症状:難聴、耳漏、耳痛がある
    • 眼症状:眼充血、眼痛、眼球突出がある
    • 咽喉頭症状:咽喉頭痛、 嗄声
  • 肺症状
    • 血痰が出る
    • 咳がある
    • 呼吸困難感がある
  • 腎症状
    • 尿の回数や量が減った
    • 最近浮腫みが増えてきた
    • 尿検査で顕微鏡的血尿を認める

では、具体的にそれぞれ説明していきたいと思います。

上気道症状

  • 上気道症状
    • 鼻症状:鼻血、膿性鼻漏がある
    • 耳症状:難聴、耳漏、耳痛がある
    • 眼症状:眼充血、眼痛、眼球突出がある
    • 咽喉頭症状:咽喉頭痛、 嗄声

多発血管炎性肉芽腫症の症状の特徴として、 上気道病変から発症し ➡︎ 下気道・肺 ➡︎ 腎臓の順に病変が拡大していきます。

上気道とは、鼻腔、副鼻腔、耳、口腔・咽頭のことを指します。

POINT

多彩な上気道病変を認めるのは、ANCA関連血管炎の中でも多発血管炎性肉芽腫症に特徴的です。

鼻腔や副鼻腔に血管炎を認めることで、鼻出血が出たり、副鼻腔の炎症が眼にまで波及すると、眼痛や視力障害まで来たすこともあります。

下気道・肺病変

  • 肺症状
    • 血痰が出る
    • 咳がある
    • 呼吸困難感がある

多発血管炎性肉芽腫症に特徴的な肺病変は、肺に「多発する結節性の浸潤影」を認めます。

ANCA関連血管炎では、すりガラス影を表す間質性肺炎が一般的ですが(多発血管炎性肉芽腫症でも間質性肺炎を認めることはあります)、多発血管炎性肉芽腫症の場合は、結節性の腫瘤影を認めるのが特徴的です。

また、結節影が大きくなると、内部に空洞を伴ってくる場合もあります。

こうした結節影や下気道病変の影響で、多発血管炎性肉芽腫症では血痰を認めやすいことも特徴的です。

腎症状

  • 腎症状
    • 尿の回数や量が減った
    • 最近浮腫みが増えてきた
    • 尿検査で顕微鏡的血尿を認める

腎臓では、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)という、数日〜数週間の単位で急激に進行してしまう腎障害を認めます。

治療が間に合わないと「腎不全」にまで至ってしまう恐ろしい病態のため、早期発見・早期治療開始がとても大切となります。

顕微鏡的多発血管炎を疑う症状

顕微鏡的多発血管炎(MPA)は、多発血管炎性肉芽腫症と同じで、「小型血管炎」という小型血管に炎症が起きる病気です。

さらに顕微鏡的多発血管炎(MPA)は、ANCA関連血管炎という血管炎の一つになります。

また、顕微鏡的多発血管炎(MPA)は自己抗体の一つである「ANCA」の中でも、「MPO-ANCA」が上昇するのが特徴的です。

顕微鏡的多発血管炎では主に次のような症状が現れます。

顕微鏡的多発血管炎を疑う症状
  • 肺症状
    • 空咳や息切れがある(間質性肺炎)
    • 呼吸困難感がある
    • 血痰が出る(肺胞出血の可能性)
  • 腎症状
    • 尿の回数や量が減った
    • 最近浮腫みが増えてきた
    • 尿検査で顕微鏡的血尿を認める
  • 末梢神経症状
    • 手足の痺れがある
    • 筋力低下がある
  • 皮膚症状
    • 紫斑がある
    • 皮下出血がある
    • 皮膚潰瘍がある

では、具体的にそれぞれの症状を説明していきたいと思います。

肺症状

  • 肺症状
    • 空咳や息切れがある(間質性肺炎)
    • 呼吸困難感がある
    • 血痰が出る(肺胞出血の可能性)

肺では、間質性肺炎や肺胞出血が特徴的です。

間質性肺炎では息切れの症状が出ますが、

肺胞出血を起こすと血痰がでたり、呼吸困難となり重篤な状態になる場合もあります

肺胞出血を認める疾患において、ANCA関連血管炎は代表的な疾患であり、ある日突然喀血をして発症する場合もあります。

肺胞出血は、肺全体に出血が起こり急激に呼吸状態が悪くなる場合や、肺での出血が気管支につまり窒息してしまうことで呼吸状態が悪くなる場合があり、症状の中でもとても重篤になります。

腎症状

  • 腎症状
    • 尿の回数や量が減った
    • 最近浮腫みが増えてきた
    • 尿検査で顕微鏡的血尿を認める

腎臓では、急速進行性糸球体腎炎(RPGN)という、数日〜数週間の単位で急激に進行してしまう腎障害を認めます。

治療が間に合わないと「腎不全」にまで至ってしまう恐ろしい病態のため、早期発見・早期治療開始がとても大切となります。

症状としては下肢の浮腫が出現します。

では、糸球体腎炎とはなんでしょうか?

Dr. キウイ
Dr. キウイ

糸球体とは、腎臓にある血液から尿を濾過するための最小の器官のことです。

〈糸球体の模式図〉

糸球体は、表面積を大きくするために、毛細血管レベルの血管が張り巡らされています。

顕微鏡的多発血管炎ではこれらの血管に炎症が起きることで、糸球体腎炎が起きます。

つまり、腎臓の最小単位の糸球体において炎症が起きているのが糸球体腎炎です。

糸球体に炎症が起き傷がつくと、タンパク質や血液が尿に漏れ出てしまい、タンパク尿や血尿が起きる原因となってしまいます。

末梢神経症状

  • 末梢神経症状
    • 手足の痺れがある
    • 筋力低下がある

末梢神経障害では、特に下肢や足先のしびれを認めたり、動かしにくい、力が入りにくい(筋力低下)といった症状を認めます。

皮膚症状

  • 皮膚症状
    • 紫斑がある
    • 皮下出血がある
    • 皮膚潰瘍がある

顕微鏡的多発血管炎の皮膚症状は、

浸潤を触れる紫斑が20〜60%に認められ、下肢中心にみられます。

他にも皮下出血や網状皮斑(リベド)などを認めます。

〈紫斑の画像〉

好酸球性多発血管性肉芽腫症を疑う症状

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は、小型血管炎に分類され、ANCA関連血管の一つで、喘息などのアレルギー疾患を持つ人が、好酸球による血管炎を全身に認める病気です。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症では主に次のような症状が現れます。

好酸球性多発血管性肉芽腫症の症状
  • 喘息あるいはアレルギー性鼻炎がある
  • 慢性好酸球性副鼻腔炎がある
  • 神経症状
    • 手足の強い痺れがある
    • 筋力低下がある
  • 皮膚症状
    • 紫斑がある
  • 消化器症状
    • 腹痛がある
    • 黒色便や血便がある(消化管出血)
  • 肺症状
    • 咳嗽がある
    • 血痰がある

では、具体的にそれぞれ説明していきたいと思います。

アレルギー性疾患がある

好酸球が血液中に異常に増えることで、全身に好酸球性の血管炎を起こすことが、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で主に起こっていることです。

  • 喘息あるいはアレルギー性鼻炎がある
  • 慢性好酸球性副鼻腔炎がある

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症で、とても重要なことに、

『好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を発症する人は、喘息やアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患を持っている

ということがあります。

また、気管支喘息は成人で発症する方が多いとも言われています。

そして、その後、数年して好酸球性多発血管炎性肉芽腫症を発症すると言われます。

また、逆に喘息などのアレルギー疾患がない方は、通常発症しない病気となります。

神経症状

  • 神経症状
    • 手足の強い痺れがある
    • 筋力低下がある

特に多い症状が末梢神経障害による『しびれ』の症状です。

始めは下肢から始まり、その後上肢にも広がるといった形で認めます。

末梢神経障害は、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の90%以上で認めると言われ、ほぼ必発の症状です。

皮膚症状

  • 皮膚症状
    • 紫斑がある

他に特徴的な症状に、皮膚の『紫斑』があります。

特に、下肢に認めることが多く、この紫斑から発症することも多いです。

〈紫斑の画像〉

消化器症状

  • 消化器症状
    • 腹痛がある
    • 黒色便や血便がある(消化管出血)

消化管に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を認めたり、心臓に好酸球性の心筋炎を認めたり、血管炎により脳梗塞を認めることもあります。

肺症状

  • 肺症状
    • 咳嗽がある
    • 血痰がある

肺や腎臓には小型血管〜毛細血管が豊富であり、ここに血管炎が生じることで、肺や腎臓の症状を認めることも重要です。

肺では、好酸球性肺炎や間質性肺炎を認め、まれに肺胞出血と呼ばれる重症の肺病変も認めることがあります。

IgA血管炎を疑う症状

IgA血管炎では主に次のような症状が現れます。

IgA血管炎を疑う症状
  • 浸潤を触れる紫斑がある(皮膚症状)
  • 関節痛がある(80 %)
  • 腹部症状
    • 腹痛
    • 下痢
    • 黒色便、血便がある(出血)
  • 腎症状
    • 尿検査で、血尿や蛋白尿がある
    • 下肢に浮腫みがある

では、具体的にそれぞれ説明していきたいと思います。

皮膚症状

  • 浸潤を触れる紫斑がある(皮膚症状)

皮膚症状は、IgA血管炎が別名「 ヘノッホ-シェーンライン紫斑病 」と言われているように、「皮膚の紫斑」が特徴的です。

IgA血管炎の紫斑は、『 触知できる(触った感覚がある)』のが特徴で、触知できる紫斑のことを「palpable purpura(パルパブル プルプーラ)」と医学的に言ったりもします。

〈 触知できる紫斑1)

触知できる紫斑は、下肢を中心に認め、症状が強いと上肢、腹部や背部などにも認めることがあります。

治療をしても、すぐにスッキリすることは少なく、半年〜1年くらいかけてゆっくりと消退していきます。

関節症状

  • 関節痛がある(80 %)

IgA血管炎は、関節症状も特徴的で、およそ80%の方が関節症状を認めると言われております。

好発部位は、膝・足関節などの大関節に多いです。

通常は、治療により徐々に改善することが多く、関節リウマチのように強い炎症による骨びらんを伴うことはありません。

腹部症状

  • 腹部症状
    • 腹痛
    • 下痢
    • 黒色便、血便がある(出血)

腹部症状もIgA血管炎には特徴的な症状の一つで、腹痛は60%程度の方で認めます

その他、悪心、血便、下痢などの症状を認めますが、重症となることもあり、稀に「急性腹症や腸閉塞消化管穿孔」を認める場合もあるので注意が必要です。

腎症状

  • 腎症状
    • 尿検査で、血尿や蛋白尿がある
    • 下肢に浮腫みがある

腎臓には、小型血管や毛細血管が張り巡らされているため、これによって血管の表面積が大きくなり、効率よく血液から尿を作ることができます。

IgA血管炎では、腎臓の小型血管や毛細血管に炎症が起き、「糸球体腎炎」を起こします。

終わりに

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、また別の記事でお会いしましょう! 

参考文献
  1. https://ykhoa.org/d/image.htm?imageKey=DERM/88992

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