貧血

鉄欠乏性貧血ってどんな病気?〜症状・原因から血液検査の見方まで〜

MedLife

今回は、貧血で最も頻度の高い鉄欠乏性貧血について、症状・原因 そして血液検査の見方まで詳しく解説をしていきたいと思います!

Dr. キウイ
Dr. キウイ

それでは早速やっていきましょう!

鉄欠乏性貧血とは

では、まず鉄欠乏性貧血とはどういった貧血なのでしょうか?

『鉄』は、赤血球を作るときに大切な材料なのですが、

その前に、赤血球の中にあるヘモグロビンについて説明しますね。

ヘモグロビンは、『色素タンパク質』で、酸素とくっついて身体の隅々に運ぶ役割があります。

このヘモグロビンというのは、赤血球のとても大事な要素になります。

このヘモグロビンの中に、鉄が含まれています。

なので、鉄が不足してしまうと、ヘモグロビンがうまく作れずに貧血となってしまうのが、『鉄欠乏性貧血』です。

20〜40代の女性のおよそ20%の方は、鉄欠乏性貧血と言われています(厚生労働省平成21国民健康・栄養調査)。

なんと、かくれ貧血を合わせると65%もいると言われています。

鉄欠乏性貧血の症状は?

では、鉄欠乏性貧血ではどう言った症状が出てくるのでしょうか?

まず、貧血自体でよく起きる症状は、

貧血自体でよく起きる症状
  • 疲労感
  • 倦怠感
  • なんとなく顔色が悪い
  • 軽い運動でも動悸
  • 息切れがする 

などがあります。

また、貧血が進行すると

貧血が進行すると起きる症状
  • 頭痛
  • 目まい
  • 立ち眩み 

などの症状も出てきます。

しかし、貧血があっても、初めはほとんど自覚症状がない場合や、運動している時だけ症状が出ることもあり、健康診断で初めてわかる場合も多くあります。

さらに、鉄欠乏性貧血がある場合は、

鉄欠乏性貧血に特徴的な症状
  • 爪が割れやすい
  • スプーンのように爪がそり返ったようになるスプーンネイル
  • 舌が赤くなって痛む舌炎
  • 口の端の部分が切れて痛む口角炎
  • 髪が抜ける
  • 肌が荒れる

 など様々な症状が現れることがあります。

血液検査で確認する方法

では続いて、血液検査で自分が鉄欠乏性貧血であるかを確認する方法について、お話ししていきます。

かかりつけの先生に、血液検査の結果から「あなたは、鉄欠乏性貧血ですね」と言われることもあるかもしれません。 

では、血液検査の結果をみて、どこが鉄欠乏性貧血かを表しているのでしょうか?

貧血を見るヘモグロビン(Hb)と鉄(Fe)を見ればいいのでしょうか?

まなみ
まなみ

確かに、Hb(ヘモグロビン)とFe(鉄)の値は大切です。

Dr. キウイ
Dr. キウイ

ですが、その2つだけでは不十分で、血液検査で鉄欠乏性貧血を見るためには、この5つをチェックしてください!

血液検査で鉄欠乏性貧血を確認するための5つの項目!
  1. Hb(ヘモグロビン HGB 貧血の指標)
  2. MCV(赤血球の大きさ)
  3. Fe(鉄)
  4. フェリチン(鉄の貯蔵)
  5. TIBC

の5つです。

では、それぞれについて詳しく説明していきますね。

❶ Hb (ヘモグロビン HGB)

Hb(ヘモグロビン)は、『 身体に貧血があるかの指標 』となる数値です。

基準値は、

Hb(ヘモグロビン)の基準値
  • 男性は、13.1〜16.3(g/dL)
  • 女性は、12.1〜14.5(g/dL)

の間なら正常範囲となります(基準値は施設により多少の違いがあります)。

男女ともに、Hb(ヘモグロビン)の値がおおよそ12 g/dL 未満 ⬇︎だと貧血になります。

貧血の重症度のざっくりの目安として、

貧血の重症度の目安
  • 10〜12では、『軽度の貧血』
  • 7〜10では、『中等度の貧血』
  • 7未満では、『高度貧血』

となります。

また目安として、Hb(ヘモグロビン)の値が 10以下 になると症状も出やすくなります。

❷ MCV

MCVは、『 赤血球の平均的な大きさ 』をみる指標です。

基準値は、

MCV の基準値
  • 85 〜 102(fL)

の間となります。

鉄欠乏性貧血の場合は、鉄という材料が減るため小さい赤血球ができてしまいます。

そのため、『 小球性貧血 』というタイプの貧血になります。

MCVは低下し(⬇︎)、鉄欠乏性貧血の指標は『 MCV ≦ 80 fL 』です。

❸ Fe (鉄)

Feは鉄のことで 『 血液中の鉄の濃度 』を表しています。

基準値は、

鉄 の基準値
  • 男性は、50〜200(µg/dL)
  • 女性は、40~180(µg/dL)

となります。

鉄欠乏性貧血では、Fe (鉄)は低下します (⬇︎)。

❹ フェリチン

フェリチンは、『 体内の鉄の貯蔵量 』を表す指標です。

基準値は、

フェリチン の基準値
  • 20〜250 (ng/ml)

の間です。

鉄欠乏性貧血では、フェリチンは低下し(⬇︎)、

鉄欠乏貧血の指標では、『 フェリチン が 12 (ng/ml ) 以下 』になります。

❺ TIBC

鉄は、血液中でトランスフェリンというタンパク質にくっついて運搬されます。

TIBCは、血液中のトランスフェリンの全体の濃度のことで、「総鉄結合能」とも言われます。

TIBCの基準値は、

TIBC の基準値
  • 男性は、253〜365(µg/dL)
  • 女性は、246〜410(µg/dL)

の間となります。

鉄欠乏性貧血の場合は、このTIBCが上昇します(⬆︎)。

なぜ、上昇するかというと、

身体が鉄分を少しでも多く取り込もうとして、鉄と結合するタンパク質である『トランスフェリン』の量を増やそうとするためです。

鉄欠乏性貧血のチェック項目 一覧

以上の5つが、血液検査で鉄欠乏性貧血があるかどうかを判断する際に重要です。

最後に表にまとめましたので、ご自分に鉄欠乏性貧血があるかどうかチェックするのに参考にしてください。

鉄欠乏性貧血

血液検査チェック項目

基準値鉄欠乏性貧血
Hb男: 13.1〜16.3 mg/dL
女: 12.1〜14.5 mg/dL
⬇︎
Fe男 50~200μg/dL
女 40~180 μg/dL
⬇︎
フェリチン20~250 ng/ml⬇︎
TIBC男 253~365 μg/dL
女 246~410 μg/dL
⬆︎
MCV85 ~ 102 fL⬇︎
(小球性貧血)

 大切なのは“ 原因 ”を見つけること!

鉄欠乏性貧血といっても、原因はたくさんあります。

実は、原因によって治療の内容も変わってしまいます。

だからこそ、その原因を知ることはとても大切なのです。

鉄欠乏性貧血の原因について

では、具体的にどういった原因があるのでしょうか?

まず、鉄欠乏貧血は、年齢、性別によって原因が大きく分かれます。

年齢・性別別の鉄欠乏性貧血を起こしやすい原因

❶ 妊娠可能年齢の女性 ➡︎ 生理による貧血、性器出血

❷ 男性、閉経後の女性 ➡︎ 消化管出血

❸ 高齢の方 ➡︎ 悪性腫瘍(癌)

このように、年齢と性別によって、鉄欠乏性貧血になってしまう原因が大きく分けられ、

あなたの年齢、性別からどんな原因によって起きているのかが推測しやすくなります(必ずしも、その年齢や性別だからといって、その原因ではないことにご注意ください)。

それぞれもう少し詳しく知りたいです!

まなみ
まなみ

❶ 妊娠可能年齢の女性 ➡︎ 生理による貧血、性器出血

まず、妊娠可能年齢の女性において鉄欠乏性貧血を起こす圧倒的に多い原因は、『生理による出血』です。

また、子宮筋腫、子宮内膜症、子宮がんといった、性器からの出血(性器出血)を伴う病気 が隠れていることもあります。

❷ 男性、閉経後の女性 ➡︎ 消化管出血

次に、男性や閉経後の女性では、

『胃や腸からの消化管出血』が原因となることが多くあります。

そのため、造影剤を使ったCT検査や胃カメラ・大腸カメラなどの検査で、出血の有無をしっかり確認します。

❸ 高齢の方 ➡︎ 悪性腫瘍(癌)

そして、高齢の方では、

鉄欠乏性貧血の原因が、『胃がんや大腸がんなどの悪性腫瘍』であることが多いです。

そのため、胃カメラや大腸カメラといった内視鏡検査でしっかりと調べることが、とても重要です。

もちろん内視鏡検査をしてみたら消化管出血がある場合もありますが、悪性腫瘍があるかを調べるためにも、定期的に内視鏡検査をすることはとても大切です。

大腸カメラは苦痛が強くてちょっという方は、精度は落ちてしまいますが最低限、『便潜血検査』でチェックしたいですね。

〈便潜血検査とは?〉

便潜血検査は、便に血が混じっているかを調べる検査です。

陽性になると、大腸がんなどの悪性腫瘍の可能性があります。

また、痔からの出血でも陽性になることもあります。

大腸カメラ(下部消化管内視鏡)をする前に健康診断などで行われることが多い検査です。

年齢と性別に関係ない鉄欠乏性貧血の原因

ただし、年齢や性別などに関係なく、こちらのような原因で鉄欠乏性貧血が起こる場合もあります。

年齢と性別に関係ない鉄欠乏性貧血の原因
  • 食事性不足
    • 偏食、ベジタリアン/菜食傾向
  • 鉄の吸収障害によるもの
    • セリアック病、胃切除後、Helicobacter pylori菌感染
  • 慢性腎疾患や慢性炎症による鉄利用障害
  • 鎮痛薬のNSAIDsやアスピリンによる消化性潰瘍
  • 婦人科以外の出血
    • 泌尿器系など

繰り返しになりますが、鉄欠乏性貧血を見つけたら「鉄を補う」だけではなく、

その原因をきちんと調べることが、自分の健康を守る第一歩になるのですね。

今回のまとめ

最後に今回のまとめです。

今回のまとめ
  • 鉄欠乏性貧血は、 Hb(ヘモグロビン)や鉄(Fe)だけでなく、身体の鉄の貯蔵量を表す『フェリチン』にも注目する。 
  • フェリチンの値が『12 ng/ml 以下』だと鉄欠乏の可能性が高い。
  • また、鉄欠乏性貧血は、単に「鉄が足りない」だけでなく、なぜ鉄が減っているのかという“原因”を見つけることがとても大切。
  • 生理や消化管出血、そして高齢の方ではがんが隠れていることも。
  • 鉄を補うことはもちろん大事ですが、必要に応じて内視鏡などでしっかり調べることが重要。

今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。

それでは、また別の記事でお会いしましょう! 

beverage break breakfast brown

お知らせ

現役医師が作ったヘルスケアプリ『 マイカル 』2025年7月リリース!!

iPhone版のURLとQRコード👇

https://apps.apple.com/jp/app/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AB%E3%83%AB/id6748717829

Android版のURLとQRコード👇

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mycal.medlife

MedLifeチャンネル 〜役立つ医療情報を動画で紹介〜

まずはこれだけは見て!医者が見ている血液検査の見るべき項目 11選
『タンパク尿』が出たら絶対に受診してほしい人の特徴9選 ” 現役腎臓内科医が紹介 ”
それぞれの膠原病に特徴的な症状 ❶【関節リウマチ・SLE・多発性筋炎/皮膚筋炎・強皮症・混合性結合組織病】

\ Xもお気軽にフォローください /

※個人個人で症状の違いがあるため、詳細な治療などにつきましては直接医療機関へお問い合わせください。

ABOUT ME
MedLife
MedLife
MedLifeは、健康な人生に役立つ情報・コンテンツを皆様に提供しています! 昨今のデジタル社会では、医療へのアクセスについてはその対応が遅れています。 この医療インフラを整え、皆様により良い医療情報の提供を目指します!
記事URLをコピーしました