膠原病の治療について
さて今回は、膠原病の治療について 詳しく解説していきたいと思います。
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それでは早速やっていきたいと思います!
- 膠原病の治療の流れや考え方、免疫抑制薬について、大まかに理解できる!

膠原病の治療について

まず、膠原病とは、
「 自分の免疫細胞が異常に活性化して、コントロールが効かなくなり、自分自身を攻撃してしまう病気 」です。

そのため、治療の本質は、この異常な免疫細胞の暴走を止めることにあります。
この暴走を止めてくれる治療薬は、主に4つあります。
- ステロイド
- 免疫抑制薬(ステロイド以外)
- 生物学的製剤
- 免疫調節薬
です。
❶ ステロイドについて

まず、ステロイドについてです。
免疫抑制薬で代表的なものが「 ステロイド 」です。
ステロイドは、グルココルチコイド とも言われます。
ステロイドは、多くの膠原病やその他の自己免疫疾患で使用されていて、
強力な抗炎症作用と免疫抑制作用を持っているので、病気が発症した時の初期治療として、とても良く使用されるお薬です。
ただし、ステロイドは、その強力な治療効果と引き換えに、多くの副作用があります。
ステロイド薬の使い方としては、
- 最初の炎症が強い時は、中等量〜高用量のステロイドを使って、早めに炎症を抑えて、
- 炎症が落ち着くに従って、ステロイドも少しずつ減らしていく

という使い方をします。

❷ 免疫抑制薬について


次に、ステロイド以外の免疫抑制薬についてもお話しします。
ステロイド以外の免疫抑制薬には、膠原病では主に、
- メトトレキサート(リウマトレックス®︎)
- アザチオプリン(アザニン®︎/イムラン®︎)
- タクロリムス(プログラフ®︎)
- シクロスポリン(ネオーラル®︎/サンディミン®︎)
- ミコフェノール酸モフェチル(セルセプト®︎)
- シクロフォスファミド(エンドキサン®︎)

が使われています。
免疫抑制薬は、主に白血球のうちのリンパ球の働きを抑えることで、免疫抑制効果を得ています。

より、具体的にはリンパ球のT細胞やB細胞の働きを抑えています。
免疫抑制薬の使われ方として、
- 膠原病が発症した時に、中等量〜高用量のステロイド治療を開始したけど、効果が十分でなかった場合に、もう一つ免疫抑制薬を追加する。
- ステロイドの量を十分に減量するために、免疫抑制薬を追加する。
といったように使用します。
そして、最終的には、
免疫抑制薬を維持療法として使用し、ステロイド(プレドニゾロン)を 5 mg 程度の少量まで減量をするか、可能であれば中止にできるように治療をします。


❸ 生物学的製剤について


それでは、続いて「生物学的製剤」についてです。
生物学的製剤は、抗体医薬品とも言われ、
抗体遺伝子をバイオテクノロジーである遺伝子組み替え技術によりヒト抗体由来に変化させることでキメラ抗体やヒト化抗体にして作ったもののことをいいます。
このように、生物由来のお薬ということで、生物学的製剤と呼ばれています。
リツキサン®︎というのは、免疫抑制薬ではないのですか?

仰る通り、リツキサン®︎、一般名リツキシマブにも免疫抑制作用はあり、広い意味での免疫抑制薬に入ります。
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ただし、リツキシマブは、抗CD20抗体製剤で、生物学的製剤となります。

生物学的製剤は、免疫抑制する作用を持っていますが、
その特徴として、ある特定の分子を阻害したり、制御したりすることで、
その病気に、特異的な炎症性物質(サイトカイン)を抑えることで、高い治療効果を発揮します。
一方で、ある特定の炎症性サイトカインや分子を抑えてしまうことで、特定の感染症などのリスクが上がってしまうこともあります。
例えば、全身性エリテマトーデスの治療薬で1型IFN受容体抗体製剤である、サフネロー®︎というお薬は、1型IFNを抑えることで、

特にウイルス感染症のリスクが上昇し、特に帯状疱疹ウイルスによる帯状疱疹の発症リスクが上昇すると言われています。

❹ 免疫調節薬について


では、次に免疫調節薬についてお話したいと思います。
免疫調節薬は免疫抑制薬とどう違うのですか?

免疫調節薬は、自己免疫疾患における異常な免疫を正常化させる働きをもち、免疫抑制薬と比べて免疫を抑制する作用は弱く、基本的に感染リスクは上がらない治療薬です。

免疫調節薬には、
- サラゾスルファピリジン(アザルフィジン®︎)
- リマチル®︎(ブシラミン)
- ケアラム®︎(イグラチモド)
- プラケニル®︎(ヒドロキシクロロキン)
- オテズラ®︎(アプレミラスト)

があります。
感染リスクの上がらない治療薬はとても良さそうですね。全ての膠原病に使えばいいんじゃないですか。

確かに、まなみさんの言う通りですが、実際には全ての膠原病で使用する訳ではなく、使用できる病気が限られています。
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具体的には、
免疫調節薬の適応疾患
アザルフィジン®︎、リマチル®︎(ブシラミン)、ケアラム®︎(イグラチモド)は、関節リウマチに適応があり、

プラケニル®︎(ヒドロキシクロロキン)は、全身性エリテマトーデス(SLE)に、

オテズラ®︎(アプレミラスト)は、ベーチェット病、そして皮膚の自己免疫疾患である乾癬に

適応があります。
また、免疫調節薬の注意点として、
治療効果は、免疫抑制薬に劣ってしまうので、しっかりと炎症を抑えたいという場合には、免疫調節薬では効果が不十分なことがあります。
では、免疫調節薬が良い適応となる場合はどういった場合でしょうか。
- まず、今使用している免疫抑制薬にもう少し効果を上乗せしたい場合などに免疫調節薬は良い適応となります。
- 例えば、関節リウマチの場合は、メトトレキサートを使っているけど、あともう少し痛みを取りたいといった場合に、免疫調節薬を併用したりして使います。
- 他にも、感染リスクの高い高齢の方や、アレルギーや副作用などで免疫抑制薬がどうしても使えない場合などで使用されます。
また他にも、最近ではJAK阻害薬という治療薬も膠原病分野で使用されるようになってきています。
JAK阻害薬については、別の記事で詳しく取り上げていきたいと思います!
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膠原病における治療の考え方

では、膠原病における治療の考え方ということで、実際に膠原病においてどのように治療薬の使い分けをしているのでしょうか。
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まず、膠原病の治療で大事なポイントは2つあります。

膠原病の治療で大事な2つのポイント
- 一つ目は、病気の発症時での炎症が強い初期治療の時は、中等量から高用量のステロイドを使って、強い炎症を抑えて寛解させる治療をする事です。
- これを、寛解導入療法ともいいます。

- 続いて2つ目は、治療薬の選択には、認める臓器病変毎に治療薬の選択をしているという事です。

この2点が大事なポイントとなります。

治療のポイント ❶ 『 寛解導入療法 』
ではまず、1つ目の発症時の治療である寛解導入療法からお話ししていきたいと思います。
発症時は、炎症がとても強く、火事で表すと山火事のように大火事が起こっている状態です。
ここに、少量のステロイドで治療を開始しても部分的にしか効果がなく、山火事を鎮火できません。
そのため、中等量から高用量のステロイドを使用する事で、山火事をしっかり鎮火する必要があります。
先生、プレドニンって、朝6錠昼4錠夕2錠のように処方されたのですが、これって何か意味があるのですか?

ご質問ありがとうございます。
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仰る通り、ステロイドは朝が1番多く、夜にかけて量を減らしていくように処方されます。
もともと、ステロイド薬は体内で分泌されるホルモンの類似物質であり、このホルモンが朝に最も多く分泌されることを模倣して朝に多く服用します。
逆にステロイドには、
覚醒作用があるので、ステロイドを夕食後に飲むと眠りにつけず不眠になることもあります。
ただし、発症時などの炎症がとても強い場合は夜にも飲むこともあります。
なので、ステロイド薬は基本的には朝食後、昼食後に服用することが多いですが、場合によっては、病気の炎症をしっかり抑えるために夕食後にも飲んで頂くこともあります。
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治療のポイント ❷『 臓器病変ごとに治療薬の選択肢が変わる 』
次に二つ目のポイントの、膠原病の治療には、同じ疾患の中でも、認める臓器病変毎によって治療薬が違ってくるということについてです。
膠原病は、全身の色々な臓器に障害を起こす病気です。
例えば、
ANCA関連血管炎という血管に炎症を起こす病気では、間質性肺炎や腎臓に糸球体腎炎などを起こしますが、
全ての方に肺も腎臓も病変を認めるわけではなく、この人は肺だけ、この人は腎臓だけと、患者さんによってみられる臓器病変に違いがあります。
同じ膠原病でも、肺にはこの治療が効果があり、腎臓にはこの治療が効果があるという治療ガイドラインがそれぞれ違う場合があるため、

認める臓器病変によって治療薬が変わってきます。
ただし、全てにおいて臓器病変毎に治療薬が変わるということが当てはまる訳ではありませんので、ご注意ください。
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具体的な疾患についてみてみましょう。
このように、同じ膠原病でも、認める臓器病変によって治療に多少違いがあります。
だから、同じSLEの人でも、使う治療薬が少し違ったりするのですね

今回のまとめ

- 膠原病で使用される治療薬は、ステロイド薬、免疫抑制薬、生物学的製剤、免疫調節薬がある。
- また、最近ではJAK阻害薬も使用されるようになってきている。
- 膠原病の治療のポイント 2つ
- 一つ目は、病気の発症時での炎症が強い初期治療の時は、中等量から高用量のステロイドを使って、強い炎症を抑えて寛解させる治療をします(寛解導入療法)。
- 2つ目は、治療薬の選択には、認める臓器病変毎に治療薬の選択をします。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また別の記事でお会いしましょう!
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