無症状でも怖い心房細動について 【治療編】
今回は、心房細動についての解説の後半部分、治療方法についてです。
脳梗塞や心不全などの重要な病気につながる危険があり、何とか治療したいものです。
それでは、やっていきましょう!

- 心房細動の治療の流れや考え方について、大まかに理解できる!

心房細動の治療について

心房細動の治療は主に2つの柱があります。
それは、
- 抗凝固薬
- 抗不整脈薬

です。
治療の柱❶ 抗凝固薬

一つ目は、脳梗塞になる確率を減らすための抗凝固薬です。
抗凝固薬とは血液が固まりにくくなる薬で、心臓の中で血栓を作りにくくします。
一般には血液サラサラと言われることが多いですが、サラサラという言葉だと効果について勘違いしてしまうかもしれません。

抗凝固薬は、コレステロールや中性脂肪が高くて、いわゆるドロドロした血液を改善するわけではありません。
あくまで、血液が固まりにくくなるだけです。
一方で、血液が固まりにくくなるために出血しやすくなるという副作用があります。

採血の時に血が止まりにくい、少し打っただけで内出血の痕が残りやすいという程度であれば、脳梗塞の予防の方が大事なので薬を続けてもらいます。

抗凝固薬による出血の副作用で重大なものは、脳出血や内臓からの出血です。
もちろん、現在出血する病気を患っている方に使うことは出来ませんし、副作用が出てしまった人には使用を差し控えることもあります。
しかし、このような重大な出血の副作用の頻度は極端に少ないです。

最終的には主治医の判断になりますが、多くの人は抗凝固薬を飲んだ方が、将来的に重大な病気になる確率はぐっと低くなります。

発作的に心房細動が出る場合も、毎日お薬を飲む必要があるのですか?

この抗凝固薬は、発作性心房細動でたまにしか心房細動が出ない人でも毎日飲んでもらいます。
驚くことに、発作性でたまにしか心房細動が出現しない人も、持続性となって常時続いている人も、脳梗塞になる確率は同じくらい高いのです。

今は心房細動が出ていないから安心とは言い切れず、予防のための薬なので飲んで何か実感として変わるわけではありません。
調子が良いから飲まなくても良いという薬ではなく、むしろ調子が良い今の状態をなるべく維持するために飲む薬です。
主治医の指示に従ってしっかりと続けることが大事です。

治療の柱❷ 抗不整脈薬

もう一つの治療の柱は、なるべく普通の脈、すなわち洞調律に戻したいということです。

〈洞調律の心電図の波形〉
発作性心房細動で脈が早くなることに対しては、なるべく発作が起こらないようにしたいものです。
持続性心房細動になってしまった人でも、長いこと続くと心臓の動きが悪くなってしまいますから、可能な限り洞調律に戻したいところです。
これらに対しては、まずは薬物治療を試みます。いわゆる抗不整脈薬と呼ばれるものです。

〈抗不整脈薬〉
こちらは抗凝固薬と違って毎日飲む、発作の時だけ飲むなど、状態によって様々です。
この抗不整脈薬は沢山飲めば良いものでは無く、残念ながら相応に副作用があります。
大事な点としては、心房細動を治すわけではないということです。

心房細動が起こりにくくなる、仮に心房細動が起きても脈が早くなりすぎないようにするということが薬の狙いです。
実際には、抗不整脈薬は心臓の中の電気の流れを変える薬であり、これによって良い効果が得られる人もいれば、逆に別の不整脈が出て問題になる人もいます。
医師は、薬の使用が危険である、もしくは薬を漫然と続けていると良くない状態が起きるであろうと予測する場合には別の治療の選択肢を考えます。
抗不整脈薬の別の治療の選択肢
電気ショックによる処置とカテーテル手術が代表的なものです。
除細動器(電気ショック)
電気ショック(除細動器)というと、怖い処置に思われる方もいるかもしれませんが、心臓を専門とする循環器内科医の先生方としては薬を投与することと同じような感覚で行っています。

電気ショックはほとんどの人の心房細動を一瞬で洞調律に戻します。
実際には処置の瞬間には痛みがあるので、点滴の眠り薬を使って眠った状態で行います。とはいえ20分もあれば終わるような処置です。
もちろん処置に伴うリスクが全く無いわけではありません。
しかし、電気ショックによる危険性は非常に低いことと、やはり抗不整脈薬を次々と上乗せしていくにはリスクがあるという点から、状況に応じて使い分けます。
抗不整脈薬を一切使わずに最初から電気ショックを勧めるケースもあるくらいです。

カテーテル手術

カテーテル手術は、現在のところ唯一心房細動を根本的に治す可能性がある治療法です。
薬では、心房細動を完全に抑えきれるわけではありません。
電気ショックは行った瞬間には通常の規則正しい脈に戻せても、また次にいつ出現するか分かりません。
根本的に治す、つまり根治するには手術しかないのです。

カテーテル手術は、カテーテルアブレーションと呼ばれ、カテーテルという3mm程度の細い管を使います。

足の付け根、首、鎖骨の下などから血管を通じてカテーテルを心臓の中まで挿入して、不整脈の原因となっている異常な心臓の筋肉に熱を加えて焼き殺します。
熱ではなく冷凍凝固で凍傷のようにする場合もあります。
焼かれた部分の心臓は電気が流れなくなるので、不整脈を治せるというわけです。
唯一の根治できる治療法ですが、欠点もあります。

2回、3回とカテーテルアブレーションを行う人もいますし、残念ながら現代の医療では治しきれない人がいるのも現状です。
実はこの時に再発しやすい人達というのも分かっています。

例えば長い期間、心房細動が続いてしまっている人です。
一方で、発作性心房細動の場合は、カテーテルアブレーションで高い治療効果が期待できます。
持続性心房細動の場合、持続期間が一年以内であれば、まずまずの確率で根治を期待できるのですが、一年を超えてくると、根治できる可能性が低くなります。
5年や10年と経過してしまった人は、正直なところ治療は困難ですし、希望されても手術を勧めない人もいます。
つまり、早い段階での治療が重要ということです。

薬だけで漫然と治療を続けるのではなく、必要と考えられる適切なタイミングで手術治療も行いたいものです。
このカテーテルアブレーションは、局所麻酔と少量の眠り薬の併用で行うことが多いですが、全身麻酔で行う病院もあります。

手術時間は2~3時間前後、入院期間は3泊4日くらいが多いと思いますが、病状や手術内容、病院によって異なります。
もちろんカテーテルという細い管で局所麻酔で行うとはいえ、心臓の手術ですので危険性もあります。
全身麻酔で胸を切り開く手術よりは圧倒的にリスクは低いですが、手術を行う上でのメリット、デメリットについては主治医とよく相談すると良いと思います。

今回のまとめ

- 今回は心房細動について話しました。
- 症状が無くても重大な病気に繋がる危険があるので、治療が必要な病気です。
- また、発見が遅れると、カテーテルアブレーションによる根治が出来なくなってしまいます。
- そのため少なくとも一年に一回は健康診断の心電図を受けて、早期発見に努めたいものです。
今回も、最後までお読みいただきありがとうございました。
それでは、また別の記事でお会いしましょう!
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